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第16回 嘘八百のIT見聞録

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2011-1-4 14:41 | 最終変更
ktakeda1  一人前 居住地: 3-11-13-111, SAKAE-CHO, FUCHU, TOKYO 183-0051  投稿数: 115
今年1回目のIT見聞録です。本年もよろしくお願いいたします。

今年は景気も少しは良くなって欲しいですね。11月、12月と、大連・北京・チェンナイを周ってきましたが、どこも活き活きとしています。チェンナイの韓国人社会も絶好調。報道によると米国も景気が回復しているようですが、この日本だけ取り残されています。

さて、インドもお正月です。以前のNIKKEINETコラムでは、何回かインドの初日の出の写真を掲載しましたが、今年は入手できていません。日本企業の駐在員の方々はほとんどの方が帰国されるので、彼らに写真をお願いできません。現地企業で働く日本の若者に初日の出の写真を頼んでいたのですが、知り合いの日本の若者がすっかり少なくなりました。やはり現在のインド政府のビザ政策でしょうね。給料の安い若者ではインドで働けなくなってきています。

初日の出の写真は無いですが、お祭り恒例の風景、コーラムを書くタミール州マドゥライの女性たちの写真です。





さて前号の終わりで、このIT見聞録が先かマイコミジャーナルの羅針盤が先になるかわからないと書きましたが、IT見聞録が先になりました。マイコミジャーナル「インド・中国への羅針盤」は次週11日掲載となります。

ということで、今回は予告どおりに「嘘八百のIT見聞録」をお送りいたします。いや、このIT見聞録だけではない。インドに関する報道をどこまで信用出来るかということです。

インドは民主主義国家で親日

いつも書いていることだが、筆者は「世界最大の民主主義国家:インド」などとは決して思った事はない。インドファンであることは紛れも無い事実であるが、民主主義だからファンであるわけではない。中国もそうだが、活き活きとしたこの国が好きである。というか、民主主義という言葉の定義すらよくわかっていない。言葉のとおり「民が主」というのなら、決してインドは「民主主義」ではない。多分、全体としては「神が主」なのだろう。勃興している新中間層からすると、「神が主」ですらない。彼らは「家族が主」である。家族のために神様を奉っているのだろう。

世界最大の普通選挙を実施しているのは事実である。しかしそれは単に人口が多いということだけである。選挙を行っているから民主主義なのか。それなら古代ローマ帝国も民主主義という事になってしまう。

インドが「世界最大の民主主義国家」と言われだしたのはいつごろからなのか。実はここ数年のことではないか。長くみたとしても、筆者がインドに行きだした15年くらい前からだろう。ではそれ以前は民主主義ではなくて、現在は民主主義なのか。決してそんな事は無い。選挙制度なんか何も変わっていない。独立以来、この国のどこが変わったか。変わったのは1点だけである。経済危機の打開策として経済自由化を行っただけである。それは中国の方が先である。

インドと中国とでどこが違うか。共産党の一党支配という点では違うが、中国にはカースト制度は無い。中国にはチベット問題があるが、インドにもカシミール問題がある。アッサムの問題もある。インド独立時にはハイデラバードの独立を軍隊で潰した。中国には言論の自由が無いと言うが、言論人に対する弾圧はインドも同じである。何も変わらない。日本も同じである。日本のメディアに「自由」があるとは思えない。官製報道の垂れ流しである。

その昔、非同盟主義国のリーダーとしてのインドがあった。核実験を行ったインドがあった。その頃は決して「世界最大の民主主義国家」などとは言われなかった。しかしインドは今も昔もインドである。ニューズウィークは「中国は米国と同じくらいのならず者」と書いたが、インドも同じようにならず者である。絶えず国益第一を考えて動いているだけである。この意味で中国も米国もインドも何も変わらない。

「世界最大の民主主義国家」というのは、そうあって欲しい、中国とは敵対して欲しいと言う日米欧の願望でしかない。願望は願望で良いが、それを現実として考えるから、話がおかしくなる。シン首相は日本訪問直後には中国の温首相と親密な会談をした。国境問題とかチベット問題、インド洋の覇権を巡る問題があったとしても、対先進国との問題に関しては常に共同歩調を取る両国である。上海万博の最終日には温首相がわざわざインド館を訪問した。中国との間だけではない。その後の米国、フランス、ロシアとの大規模な貿易の取り決めが発表されたが、日本ではほとんど報道されない。報道されるのは日印EPA締結への期待感だけである。

「親日国家」というイメージも同じである。親日家の方はいらっしゃるが、そういう方を除くと、どこが「親日」なのか、さっぱりわからない。タミール州の一般の方からすると、日本と韓国との違いなどわからない。どちらかというと「親韓国家」である。もしかすると日本は韓国の一部と思っておられる方がいても不思議ではない。わからないという意味では、我々が旧ソ連の現状の国々をわからないのと同じである。

インド人は頭が良い

何年前だったか、ベトナムがもてはやされた事があった。気性が穏やかで、頭が良いそうだ。昨年、聞いた話だが、ミャンマーとかネパールの学生は非常に優秀との話である。もっと最近聞いたことだが、バングラデシュの学生も頭が良いらしい。いや、10年以上前の話だが、中国の学生は世界でも有数の頭脳を持つと聞いた。インド人は当然である、何しろ、0を発明した国だからである。こんな話を聞いていると、なんと日本の若者は頭が悪いのかという事になってしまう。

それを日本のメディアが書き立てる。いつの間にやら「本当」に聞こえてくるから不思議である。頭の良し悪しが民族で決まるなんて事はありえない。どこの国にも頭の良い人もいるし悪い人もいる。上澄み層の頭が良いのは当然である。一部の方にスポットを当てて、そこだけ報道するからおかしい。最近、ベトナム人は良いという話をあまり聞かなくなった。当然である。人口の少ない、それ以上に大学も少ないベトナムである。頭の良い上澄み層の取り合いの後には何も残らない。

インドITのニュースもだんだんと少なくなってきた。昔は優秀な学生でも公務員になるかIT企業に勤めるかの選択しかなかったが、最近ではIT以外の産業が格段に発展した。IT産業の相対的位置はどんどんと低下している。IT企業とはいえども、人の確保は難しい。だからコールセンター業務などはインド自らフィリピンに移転している。

数値で表す事が出来るのは2点だけである。一点はインドの識字率の低さである。これは州によっても全く違う。90%以上の識字率を誇るのはケララ州だけだったか。もう一点はウィプロ社が実施した世界の子供たちの学力調査である。世界40数カ国を対象とし、インドでは大都会の有力私立校を調査対象にしたにもかかわらず、インドは30数位という散々たる結果に終わってしまった。「頭が良い」とは正反対の結果である。原因ははっきりしている。日本でもてはやされる「インド式教育」の弊害である。もしかすると、普通の公立学校を調査対象にした方が成績は良かったかもしれない。
何にしろ、日本のメディアのインド報道はおかし過ぎる。シン首相来日前後から特にひどい。インドは明日にも対中包囲網に加わり、明日にも現代自動車をベンガル湾に落とす事が可能になるような報道ばかりである。

ムンバイテロの後のNIKKEINETコラムに書いた一文である。

「一連の報道を見ていて、最も驚いたのはムンバイから最初に帰国された方々へのインタビューである。NHKワールドのニュースである。企業経営者らしき方が成田で取材を受けていた。「インドでテロが起きるなんて考えてもみなかった」との発言である。これには驚かされた」。経営者がこんな認識でインド進出を決定したとなると空恐ろしくなる。メディアの報道が作り出す幻想である。

最も怖い嘘

人を騙すには99%の真実を喋るのが良いといわれている。その点で考えると、さすがに最近の日本のインド報道は信じられないであろう。何しろインドに対する「ヨイショ」が多すぎる。信じ易い方でも疑問に思う事が多くなる。ところが逆に「そうではない、これが現実だ」と書くと人は信じやすい。もう一つ、徹底して嘘で固めるのも上手い騙し方のようである。どちらも「嘘八白」である。

その代表がNIKKEINET時代から続く「インドIT見聞録」とかいうコラムである。この筆者はインドファンであるにも関わらず、インドを礼賛しない。どちらかというと批判的ですらある。インドの友人達からはよくクレームをつけられているらしい。しかしいくらクレームをつけられても止めない。メディアとは違う視点で書くのを生き甲斐にしている。友人だからこそ批判するつもりでいる。後から考えて間違いに気づくこともある。しかしすでに時遅しである。

1回だけ当事者からクレームがついて、NIKKEINET編集部の判断で修正されたケースがあった。SATYAMの不正経理事件の時である。しかしあの時は掲載前に編集部が加えた修正に対するクレームであって、筆者の責任ではない。

しかし今回だけは筆者の原稿である。(続)インド・中国IT見聞録の第1回、「インド政府は鎖国をするつもりか」(http://bit.ly/e9lH4p )である。

ここで書かれていることは99%正しい。いや、99%ではなくて100%か。対中政策とビザ政策の変更、リーマン・ショックとの関係で「鎖国」状態になってしまった。結果として日本の若者はインドから追い出され、筆者には今年の初日の出の写真が手に入らなくなった。

しかし以下の内容はどうか。
「この問題に対する日本政府の対応はどうか。4月19日のインド政府の決定に対して、残念ながら日本大使館が行っていることは新ガイドラインを日本企業、日本人会に伝達しているだけである。本来、ビザ発給は双務的である。一方の国が緩和するときには相手も緩和する。制限を加えるときには相手も制限を加える。これが世界の常識である。

インドが制限をかけるなら、日本政府もインド人の日本入国に対して制限をかける、これくらいの姿勢で臨むのが普通であろう。
4月29日から4日間、直嶋正行経済産業相がインドを訪問した。ちょうど新ガイドラインが通知された直後である。環境関連技術、エネルギー分野での両国の関係強化を目指すとの事であるが、ビザ問題で抗議したとの話はついぞ聞かない。それは外務省の所管とでも言うのであろうか。そんな事よりもインドへの売込みが先であり、相手を怒らせることは無いとでも考えているのか。

結局、一方的な通知を受け入れてしまった。大企業の売り込みの後押しはするが、草の根レベルで活動している日本の若者の不安などは知ったことではないようだ。」

これも事実である。日本の外務省は易々と受け入れてしまった。「日本政府もインド人の日本入国に対して制限をかける、これくらいの姿勢で臨むのが普通であろう」、残念ながら、これも行われていない。

しかしである。チェンナイの街を歩いていて、何かがおかしい。昼時には韓国レストランに良く行くが、いつも賑わっている。どこの韓国レストランでも、従業員は全員が韓国の若者である。ある韓国コンビニの店長さんはもちろん韓国人であるが、この方は全く英語を喋れない。1,2,3も喋れない。だから勘定は電卓を見てする。最近出来た少し怪しい日本レストランに行く時もある。ここの店長さんは韓国人であるが、従業員はタイ人である。そういえばタイ人も多い。

現代自動車だとかサムスン電子、あるいは系列の部品会社の従業員が増えるのはわかる。その点では日本の大企業の社員も増えている。インドのビザ政策としても歓迎される外国人である。ところがそれだけではなくて、現地企業に勤める給料の安い外国人も増えているのである。日本人は減っているのにだ。若者だけではない。大企業の社員でもインド国内でのビザ延長が事実上、不可能になりだした。

はっきりしている事は、インドのビザ政策は韓国だけ特別扱いをしているというよりも、日本を特別扱いしているということだ。リーマン・ショック云々の話は対中政策のようだ。時期的に同じなので一連の流れとして書いているが、それが主原因ではないようだ。
いろんな方に聞いてみた。「日本の対インドのビザ政策に対する報復処置」のようだ。「日本は中国に対してはどんどんと開放しているのに、インド人に対するビザは開放しない」事に業を煮やした結果との事である。なるほど、だから日本の外務省も強い態度を取れないのか。

表面だけの日印友好をいくら唱えても、実態が伴わなければ何も進まない。ODA予算の多寡の問題ではない。
インドを知るためには日本の報道を見ていても仕方が無い。逆にこの「IT見聞録」を鵜呑みにされても間違いがある。どちらも「嘘八百」である。やはり少々の悪意はあるがニューズウィークを見て、次に自分の眼で見に行くのが一番のようである。


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